フウガドールすみだ

すみだに必要な存在に。

フウガドールすみだが、スポーツを通して届けたいこと

画像提供:フウガドールすみだ

墨田区をホームタウンとして、日本フットサルリーグ「Fリーグ」で活躍する、フウガドールすみだ。錦糸町にある墨田区総合体育館をホームアリーナとしていて、地域のスポーツイベントへの参加やスクール、クリニックの開催など、積極的に地域に根付いた活動をしているフットサルクラブです。2000年の設立から、昨年で20周年を迎えたフウガドールすみだは、すみだの誇るチームとなりました。今回はクラブの取締役を務める斉田さん、営業・広報担当の本郷さんに運営にかける想いやフットサルを通じた地域との関わり方をお聞きしました。

一人のサポーターから、クラブの経営者に

フウガドールすみだは、暁星高校サッカー部と都立駒場高校サッカー部OBたちがつくったフットサルチームから歴史が始まります。2002年に東京都オープンリーグに出場して見事優勝し、2003年には東京都2部リーグでも優勝、さらに翌年に1部リーグ昇格を果たすと、リーグ戦で11連勝という快挙を成し遂げました。当時、関東で最高峰とされていた関東フットサルリーグへ参戦をするなど、一気に駆け上がっていきました。

2007年に日本でフットサルのトップリーグとなる「Fリーグ」の開幕が決まり、チームは参入を目指していきました。その最中、また快挙を成し遂げます。それが、2009年の全日本フットサル選手権での優勝でした。Fリーグに所属する数々の強豪チームに勝利して、ジャイアントキリングを起こし、ますます注目されるチームへと成長していきました。

「フウガドールすみだのスタッフは、最初はみんなボランティアで関わりながら運営をしてきました。私もその一人でした」と話すのは、フウガドールすみだのクラブを経営する取締役の斉田さん。元々は観客としてチームを応援するサポーターでしたが、気づけば2007年頃から運営に携わるようになり、駆け上がっていくチームを応援してきました。

斉田さんにとっての転機は、チームのFリーグ加入が決まり参入1年目のときでした。当時のフウガドールすみだは、常勤の職員が1人しかいない状況で運営されていました。年間10試合程は墨田区総合体育館でのホームゲームが開催され、チームの活動も活発になっていくため「チーム力の維持、組織力が必要だと思った」という斉田さんは、一念発起して務めていた会社を辞め、フウガドールすみだの運営全般に携わることを決意したのだそうです。

「試合を観ると華があるように見られるクラブ運営ですが、とにかく地道な活動です(笑)」と運営の大変さをにじませながら話してくれたのは、大学時代からスタッフとして関わってきたという営業・広報担当の本郷さんです。

本郷さんは大学1年生から学生ボランティアとして携わるようになり、一度は別の会社に就職したものの、クラブの組織体制を整え、チームの成長に貢献したいと自らクラブに志願して2021年に社員となりました。

クラブは、スポンサー企業からの支援や入場料収入、ファンクラブ会費やフットサルスクールの会費などに支えられ運営されています。さまざまな取り組みを展開していますが、フロントスタッフ(社員)4名で、その他学生や社会人のボランティアという少数精鋭で成り立っています。

地域と歩み、一緒に成長ストーリーをつくる

Fリーグ参入を目指しホームタウンを探しているときに、偶然、錦糸町に墨田区総合体育館ができるという話を聞きつけ、区に連絡をしました。23区にホームタウンを持つチームの事例もなく、「区の担当者は、最初は怪訝な様子で私たちの話を聞いていましたね(笑)」と斉田さんは振り返ります。

墨田区をホームタウンとして活動するからには、地域に必要とされるクラブを目指し、イベント参加や保育園、小学校の訪問など、声をかけてもらえばできる限り参加して、地域貢献に積極的に取り組みました。こうして、チームの活躍と地道な地域活動が実を結び、2011年に墨田区とホームタウン連携協定の締結に至り、ホームチームとして活動ができるようになりました。

所属する選手は、全員プロではなく本業を抱えながら活動をしています。墨田区内では、鈴木興産や森清加工、浜野製作所などに勤務する選手など、墨田区在住・在勤の選手も多く所属しています。

地元の応援があるからこそチームの成長があることを肌で感じている選手やスタッフは、フットサルを通じて地域と関わる機会を大切にしてきました。その結果、フウガドールすみだに関わりたいと手を挙げる人も増えてきています。

画像提供:フウガドールすみだ

チームが成長してきたように、これからはすみだの人たちとともに成長するストーリーをつくっていきたい。そんな思いを抱きながら、フウガドールすみだは墨田区を拠点として11年間、チーム力の向上と組織力を高めることに注力してきました。

日本女子フットサルリーグに所属する「フウガドールすみだレディース」や、トップチーム昇格を目指す「フウガドールすみだバッファローズ」「フウガドールすみだファルコンズ(U-18)」といった下部組織ができあがり、フットサルスクールの運営などとともに、子どもから大人になるまでフットサルを通して成長していく体制をつくりあげました。

「子どもたちが、トップチームの選手に触れて刺激をもらいながら成長していける状態ができ、フウガドールすみだの魅力のひとつになってきたと思います」と斉田さん。墨田区総合体育館がオープンし、初めてのホームゲームを開催した2010年から11年が経ち、今では下部組織にいた子どもが、憧れの選手とチームメンバーとしてともに戦う光景も生まれているのだそう。スポーツを通して地域の中で成長できる土壌を、フウガドールすみだはつくったのです。

「スポーツが地域にもたらすよい影響はたくさんあると思っていますが、一方で経営が厳しくなりチームの存続ができずに地域からなくなる事例もあります。だからこそ、すみだで私たちが存在し続けるために、これからも地域の中で一つひとつの活動を積み重ねていくという思いは変わらずにいたいと思っています」(斉田)

選手やスタッフ、サポーターが一丸となって上を目指してきた熱量は、それぞれを大きく成長させました。だからこそ、フットサルを通じた成長の体験を地域の人たちにも届けたいと考えています。

共感する人が増え、応援したくなるクラブを目指して

フウガドールすみだが、今後もすみだの地で必要とされるクラブとして活動を継続していくためには、「チームとして成績を残すのはもちろん、すみだという街に何ができるのかを考え、実行していくことが大切だと思っています」と思いを語る斉田さん。

今後はこれまで以上に地元企業との取り組みや交流を深めながら、応援者を増やしていきたいと考えています。

「区内の公立図書館がフウガの記念展示やPRの機会を後押ししてくださり、私たちの想いや活動に共感をして応援してくれる心意気が本当にありがたいです」と本郷さんがいうように、地域の人たちに支えられている実感があるからこそ、地域に何か返していきたいという思いがあります。

クラブ経営を盤石にするためにも、「時間をかけてコツコツとフウガに共感してくれる人を増やし、その輪を広げていくほうが持続できると考えています」と斉田さんは、クラブのあり方を話します。

「毎年、区内の保育園には選手がフットサルを教えに訪問させていただいています。10年くらい通っていると、だんだんと覚えてくれる子たちも増えて、ユニフォーム姿を見れば『あ!フウガだ』って言ってもらえるようになって嬉しくなりますね。ようやく知名度が上がってきたかなと感じているところです。でも、まだまだ(笑)」と話す本郷さん。10年間積み上げたものを大切に、さらに応援したくなるクラブを目指します。

フウガドールすみだのSDGs

フウガドールすみだでは、試合時にゴミを極力なくす取り組みに力を入れています。

「Jリーグは50年かけてプラスチックゴミをゼロにしようという目標を掲げていたかと思います。こういった取り組みをFリーグもできると思い、すぐに取り掛かりました」と斉田さん。2020年からは、紙で発券するチケットから全て電子チケットに変更し、QRコードなどを活用してスマートフォンで読んでもらうよう会場で配布されるチラシなどの印刷物も可能な限り減らしました。

また、すみだでつながった縁で、「すみだ SDGs プロジェクト」でアサヒビールとパナソニックが共同開発した植物由来のエコカップ「森のタンブラー」を、フウガドールすみだオフィシャルショップ&コーヒースタンド「FUGADOR COFFEE」で提供するコップとして採用しました。

コロナ禍で無観客試合による運営を余儀なくされ、幼稚園や小学校の訪問、スクール運営などファンや地元の人たちとの交流機会を思うようにつくれない時期が続き、選手もスタッフも歯がゆい思いをしてきました。

それでも、すみだにあるフットサルチームとして今後も持続的に活動できることが、結果として地域の盛り上がりにつながると信じてこれからも小さくても前向きな取り組みを重ねていこうとしています。

子どもたちへのメッセージ

フットサルを通して、選手もスタッフもみんなが一緒に成長していくのがフウガドールすみだの魅力です。僕たちとすみだで一緒に成長していきましょう!(斉田)

【試合情報】

フウガドールすみだの試合情報はこちら!

http://www.fuga-futsal.com/ticket-2021

<プロフィール>

東京都墨田区を拠点に2014年からFリーグ(日本フットサルリーグ)に参戦中。
チーム名は、「FU=FUTSAL(フットサル)」、「G=growup(成長する)」、「A=associate(仲間)」と、スペイン語「JUGADOR(選手)」を合わせた造語です。「フットサルとともに成長する仲間たち」という思いが込められています。また、墨田で生まれた葛飾北斎の「冨嶽三十六景」の音も含んでいます。
フットサル、そして地域スポーツの振興を目指して活動しています。